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「年のせいだから仕方ない」は本当?
加齢で睡眠が変わる3つの理由と、
諦める前に知っておきたいこと

9分で読めます 2026.06.27
この記事でわかること
  • ✓ 加齢による睡眠の変化には「メラトニン減少」「深い眠りの縮小」「体内時計の前進」という3つの異なる原因があるとわかる
  • ✓ 「なんとなく眠れない」ではなく、自分の眠りがどのメカニズムで変化しているのかを整理できるようになる
  • ✓ 「年のせいだから諦める」ではなく、「原因がわかれば対策の方向性も変わる」という視点を持てるようになる

歳をとると眠れなくなる——そう感じている人は、実はとても多いんです。「昔は頭が枕に触れただけで眠れたのに」「夜中に何度も目が覚める」「朝5時には目が覚めてしまう」。こういった声はよく耳にします。

でも「年のせいだから仕方ない」と諦める前に、ちょっと待ってください。眠りが変化するのは確かに加齢と関係していますが、その背景には複数のメカニズムがあります。原因がわかると、対策の方向性も見えてきます。この記事では、加齢にともなって睡眠が変わる理由を科学的に整理していきます。


そもそも、眠りはどう変わっていくのか

加齢とともに起きる睡眠の変化を大きく分けると、主に4つあります。

1つ目は「眠りが浅くなる」こと。夜中に物音で目が覚めたり、ちょっとしたことで起きてしまう回数が増えます。

2つ目は「睡眠時間が短くなる」こと。ある研究では、成人の総睡眠時間は10年ごとに約10〜12分ずつ短くなるという傾向が報告されています。「最近は6時間も眠れない」という感覚、あながち気のせいではありません。

3つ目は「夜中に目が覚めやすくなる」こと。40代後半以降は10年ごとに中途覚醒(夜中に目が覚めている時間の合計)が約10分ずつ延びるという研究データもあります。

4つ目は「早起きになる」こと。以前は23時まで平気だったのに、最近は21時には眠くなる——これも加齢特有の変化です。

これらの変化は「なんとなく眠れなくなった」という一言では片付けられません。それぞれに異なる原因があるんです。

縦並び4行の比較図。各行を左右2列に分け、左列「若いころ」・右列「加齢後」で対比。4行はそれぞれ「眠りの深さ」「睡眠時間」「夜中の目覚め」「起床時刻」に対応し、状態の違いをシンプルなフラットアイコンで表現。左列はネイビー、右列はラベンダー。背景クリーム。図の上部に結論テキスト「眠りの変化は4つ、それぞれ原因が違う」を表示。


理由① 眠気を起こすホルモンが減ってくる

眠くなるとき、脳の中では「メラトニン」というホルモンが分泌されています。「眠気を起こすホルモン」と思ってください。日が沈むと自然と分泌が増えて、眠気を引き起こしてくれる仕組みです。

ところが、このメラトニンは年齢とともに分泌量が減っていくことが知られています。研究によると、60代以降になると若いころと比べてメラトニンの分泌量が少なくなる傾向があり、夜になっても「眠気のスイッチが入りにくくなる」という状態が起きやすくなると考えられています。

「布団に入っても眠気が来ない」「眠れないからスマホを見てしまう」——こういった悩みの一因として、メラトニンの変化が関わっている可能性があります。

なお、メラトニンのサプリメントも市販されていますが、使い方や効果には個人差があります。気になる方は自己判断ではなく、まず医師に相談するのが安心です。

横長の折れ線グラフ。横軸は年齢(20代→40代→60代→80代)、縦軸はメラトニン分泌量(相対値)。折れ線は20代でピークを示した後、右肩下がりに低下していく。線の色はネイビー。背景クリーム。図の上部に結論テキスト「メラトニンは年齢とともに減り続ける」を表示。軸ラベルは「年齢」「分泌量」のみ最小限。


理由② 深い眠りが少なくなる

睡眠には「浅い眠り」と「深い眠り」があります。深い眠りのことを「ノンレム睡眠N3(スリーステージ)」と呼びますが、難しく考えなくて大丈夫です。「熟睡できている時間」のことだと思ってください。

この「熟睡時間」が、加齢とともに縮んでいくことがわかっています。ある研究では、深い眠りは10年ごとに全睡眠時間の約2%ずつ減少するという傾向が報告されています。若い人では全体の約20〜25%を占めていたのが、高齢になると5〜10%程度になることもあります。

この深い眠りの時間は、体の疲れをとる・記憶を定着させる・成長ホルモンを分泌させるといった役割を担っています。「昔のほうが寝た気がした」「同じ時間眠っても疲れが取れない」という感覚は、この変化とも関係しているかもしれません。

横並び2パネルの棒グラフ。左パネルに「若いころ(20代)」、右パネルに「加齢後(60代以上)」を配置。各パネルに積み上げ棒グラフ1本。棒を「深い眠り(ネイビー)」「それ以外の睡眠(ラベンダー)」の2色で積み上げ、左は深い眠りの割合が大きく、右は小さい。背景クリーム。図の上部に結論テキスト「熟睡できる時間は年齢とともに減っていく」を表示。凡例は「深い眠り」「その他」のみ。


理由③ 体内時計が前にずれていく

人間の体には「体内時計」が備わっています。だいたい24時間周期で動いていて、眠くなる時刻・目が覚める時刻を調整してくれる仕組みです。

この体内時計が、年齢とともに少しずつ「前にずれていく」ことが知られています。難しく言うと「前進シフト」といいますが、要するに「眠くなる時刻・起きる時刻が、昔より早くなっていく」ということです。

若いころは夜中の12時まで全然眠くなかったのに、最近は21時に眠くなって、気づいたら朝4〜5時に目が覚めている——これがその典型です。

なぜ前にずれるのか、詳しいメカニズムはまだ研究が進んでいる段階ですが、光への感受性の変化や、体内時計を調整する神経細胞の変化が関係していると考えられています。

横長のタイムライン図。横軸は時刻(18時〜翌8時)。上段に「若いころ」の眠気ゾーン(23時〜7時)をネイビーの帯で表示。下段に「加齢後」の眠気ゾーン(21時〜5時)をラベンダーの帯で表示。帯全体が左(早い時刻)にシフトしていることが視覚的にわかる構造。背景クリーム。図の上部に結論テキスト「体内時計は加齢で前にずれ、眠くなる時刻が早まる」を表示。


「ただ年をとった」だけじゃない——変化は重なる

ここまで3つの理由を紹介しましたが、実際にはこれらが「同時に」起きています。

メラトニンが減って眠気が来にくい。深い眠りも減って、ちょっとしたことで目が覚める。体内時計が前にずれているので、朝早く目が覚めてしまう。

これらが重なると、「夜なかなか眠れないのに朝早く起きてしまう」「眠りが浅くて何度も目が覚める」「同じ時間眠っても疲れが取れない気がする」といった状態になりやすいのです。

加齢による睡眠の変化は「眠れなくなった」というひとことでまとめられがちですが、原因はひとつではありません。そして原因が違えば、対策も変わってきます。

横並び3パネルのステップ図。左から「ホルモンの減少」「深い眠りの減少」「体内時計のずれ」をフラットアイコンで1つずつ表示し、各パネルの下から矢印が1本ずつ伸びて、下段中央の1つのボックス「眠れない・目が覚める・疲れが取れない」に集まる構造。矢印の色はネイビー。ボックスの色はラベンダー。背景クリーム。図の上部に結論テキスト「3つの変化が重なって『眠れない』が起きる」を表示。


じゃあ、諦めるしかないの?

正直に言うと、加齢にともなう睡眠の変化を「完全になかったことにする」ことはできません。体の仕組みが変わっていくのは、ある意味では自然なことでもあります。

ただ、「どうせ年のせい」と何もしないのと、「原因を知ったうえで自分に合った対策を試す」のは、まったく違います。

たとえば、体内時計のずれに対しては「朝の光を意識的に浴びる」ことが有効だとする研究があります。深い眠りを増やすことに関しては、適度な運動が関係しているという報告もあります。いずれも「必ず改善する」と断言できるものではありませんが、「何もしない」より選択肢があるというのは心強いことです。

また、眠れない時間が長い・日中の眠気がひどい・気分にも影響が出ているといった場合は、加齢だけでなく他の要因(眠っている間に呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群」など)が絡んでいる可能性もあります。そういうときは医師への相談が一番の近道です。

この記事で紹介した3つのメカニズムは、あくまで「眠りが変化している理由を理解するための入口」です。次のステップとして、それぞれの対策についても別の記事で詳しく紹介していく予定です。


まとめ

  • 加齢にともなう睡眠の変化は「眠りが浅くなる」「睡眠時間が短くなる」「夜中に目が覚める」「早起きになる」の4つが代表的
  • 原因①は「メラトニン(眠気を起こすホルモン)」の分泌量が年齢とともに減少すること
  • 原因②は「深い眠り(熟睡時間)」が10年ごとに少しずつ縮んでいくこと
  • 原因③は「体内時計が前にずれ」、眠くなる・起きる時刻が早まること
  • これら3つは同時に起きるため、「なかなか眠れないのに朝早く目が覚める」という状態になりやすい

まずは「自分の眠りがどう変わったか」を振り返るところから始めてみてください。変化のパターンがわかると、対策の糸口も見つかりやすくなります。


⚠️ この記事の内容は情報提供を目的としており、医療行為・診断・治療の代替となるものではありません。健康上の問題がある場合は、必ず医師や専門家にご相談ください。


引用・参考文献

  • 加齢にともなう総睡眠時間の短縮(10年あたり約10〜12分) → Ohayon et al. (2004) Sleep(メタ分析)
  • 加齢にともなう中途覚醒時間の増加 → Ohayon et al. (2004) Sleep
  • ノンレム睡眠N3の加齢にともなう減少(10年あたり約2%) → Ohayon et al. (2004) Sleep
  • 加齢にともなうメラトニン分泌量の低下 → Zhdanova et al. (1998) Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism; Skene & Arendt (2006) Sleep Medicine
  • 体内時計の加齢による前進シフト → Duffy et al. (2002) Sleep; Roenneberg et al. (2004) Current Biology

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Kou(コウ)
この記事を書いた人
Kou(コウ)

20代後半・関東在住・会社員 マットレス:西川 枕:FIT LABO

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